文化祭… そう、楽しみにしていた文化祭 文化祭最終日の夜 クラスメートのリュータが屋上から飛び下りて死にました みんなは事故だと云いました 周りは彼を馬鹿にしました でも知っています 彼は殺されたのです 私達は犯人を許しません 今日この合宿で、犯人を見つけ出して復讐します さあみんなで探して吊せ 彼の無念を晴らすのだ 「…何だ?」 合宿所を歩いていたミシェルは床に落ちていた紙を拾った。 「何…『ユルサナイコロシテヤル』…?」 2-Aの担任であるミシェルは同じく2-Bの担任である文彦にそれを見せた。 「一体なんですか?…恐ろしい」 「心配無いですよ。ただの悪戯…」 ミシェルはもう一枚落ちてるのを見つける。 『リュータ』 血の固まった色でそう書かれていた。 『リュータ』 今年の文化祭最終日に、学園の屋上から飛び下りた少年の名前 あの日から2-Dは歪みを抱えている 2-Dは元々仲間意識が強いクラスだった その仲間が不自然な死を迎えたのだ 歪みを抱えて当たり前だ その歪みが表に出るとは誰も思わなかった 合宿場の離れにD組が宿泊している 離れと本館を繋ぐ通路の前に生徒が立っている 「犯人を逃がさない」 「復讐しよう」 「敵を討とう」 離れと本館を繋ぐ通路を防火用扉が塞ぐ 「さあ犯人を見つけよう」 私達の中に仲間を殺した鬼がいます 鬼は人の皮を被っているから 私達の中で怪しい者を見つけて退治していこう たとえ退治したそれが私達の仲間でも 次の日… 離れで無残な姿になった伊達先輩が見つかった 「伊達殿…」 見開かれた目労る様に瞼を閉じさせたのは3-Aの担任、上杉だ。 「一体誰がこんな事を…!」 鶴姫は涙を零しながら家康に沿いよる。 「うぅ親方さまあ!二年に続く通路が断たれておりますうう!!!」 「あの離れには3年D組の生徒も何人かいた筈だ!」 教師達は防火用扉をこじ開けに向かう その後を生徒会長の家康と副会長の三成が付いていく 「彼は犯人じゃなかったな」 名簿の名前を消すのは学級委員のナカジ 「ねえ見たぁ?…伊達先輩のあの顔!鼻水垂らして命乞いしてさぁ!!」 『処刑』の映像を見て笑うのはタロ 「おい…」 他の2-Dの生徒達がリュータの写真を待ち受け画面に表示する 2-Dの生徒が復讐を誓った証 失った仲間の記憶 「次の鬼を決めよう」 リュータの親友だったサイバーが名簿を見せた 「それが鬼なら復讐しよう」 クラスメート全員が写真を見て声を上げた 「さあ、汝は犯人なりや」 ボロボロの携帯から音楽が響く サユリが携帯を開き、メールを集計する 「リュータ君を殺した鬼は3-Dの石田に10票、同じ3-Dの真田に8票」 ソラがナイフを見せる 「石田三成を処刑しよう!敵を討とう」 全ては彼の無念を晴らす為 鬼は周りにいるとは限らない 鬼を狩るのが人間とは限らない 人間は鬼になれる。復讐の鬼に さあ、犯人に裁きを よく朝− 三成が首切りの状態で発見された。 教師は見せない様に慌ててシーツを掛ける。 ねぇねぇ、三成君殺されたんだって〜! 知ってるでござる!首切りの状態だったそうでござるな! 教員の苦労空しく、三年生の間で噂が飛び交う。 次は誰だ 噂の閉めはいつもこの話題だった。 今は冬で、此処は山。天候は吹雪 合宿場から逃げることは出来ない 皆、不安を隠せなかった 生徒会長、徳川家康 彼は幼なじみの石田三成を失った。 人が人を殺す… その行為は何故起こったのか (3-Bの伊達は転落死、と云う扱いとなり事故だと皆認識している) 彼は生徒会と云う人脈で辿り始めた 今の所、家康が掴んだのは2つ それをメモに書いていく。もし自分が被害に合った時の為に、自宅のPCにもメー ルで送っておく 「現在の手掛かりは…2年の教師が拾ったメモと三成の携帯に有ったメール、か 」 三成の携帯に有ったメールを家康は思い出す 『件名:汝は犯人なりや? 本文:貴方を処刑します』 送信元はよく分からなかったが、フリーメールでだろう。 「あとはメモを調べている風魔を待つか…」 部屋のドアを誰かが叩く 家康はメモを鞄にしまった 「あの、何の用事ですか?」 家康は2-Dの生徒を呼んでいた 「すまんな。向井君…いや、ナカジ君と呼んだ方が良いか?」 「いえ…ナカジは『アイツ』の付けた呼び名だから、三年に呼ばれたく無い」 「そうか。では向井君。何か用かな?」 「汝は犯人なりや?」 「えっ?」 シュ、と音がして刃が閃いた。 家康は条件反射でそれを避ける。ナカジは青いマフラーを靡かせて家康を追いか けた。 家康は窓に突っ込んだ。ガラスが割れる音。ナカジが窓から下を見ると、家康ら しい人物はいなかった。 「…奴は犯人じゃなかったか」 「先生!!!」 家康は何とか三年の教員の部屋へ辿りつく。 「どうした家康、そんな鬼みたいな顔をして」 「犯人は向井君です!早く向井君ゴハッ 家康は喋っていながら血を吐いた。 教員達は廊下を見たが、がらんとした廊下には誰も居なかった。 汝は犯人なりや? 声が廊下に響いた。 今答えが見つかった 『汝は犯人なりや?』とは、誰かへの復讐 復讐の為に三成を殺し、自分を殺そうとしたのだ 「ルール違反よ?ナカジ君」 ナカジの背後にサユリが立っていた 「ちゃんとみんなで探すのよ、リュータ君を奪った犯人を」 この中に人食い鬼がいる 大切な仲間が食べられた 鬼を許してはいけないよ 家康は校医の明智の元に運ばれた 明智は医師免許が有るらしく、簡単な治療をしてくれた 原因は脇腹を斬られていたらしい 家康の元に友人の忠勝と、調査を頼んだ風魔が来る 「忠勝…2年の向井に、気を…つけてくれ」 風魔が家康に調べた結果を教えた 「…!!、あの事故が、ああ…あの事故だな」 家康が起き上がる 「忠勝、わしは彼とは多少仲が良かった。だからきっとこの怪我で済んだのだ」 彼のことを少し調べてくれ そう言って家康はベッドに沈んだ 離れの談話室… 2-Dの生徒が話し合っていた 「ナカジ、あの人はリュータに優しかったんだよ?」 ソラがナカジを睨んだ 「それに、もしかしたら『あのコト』を調べてくれたかも」 リゼットが本を開いた 「どうすんの?ねぇナカジ」 タロがナカジに笑いかけた ナカジは無言になる。目が泳いでいた。 「もしかして、ナカジが犯人?」 「犯人なら殺さなくちゃ」 「ねぇナカジ」 刺さる様な視線がナカジに向けられる。ナカジはゆっくり後退りし、ドアを開け て廊下に逃げ出した。 の日の朝… 2年D組の生徒、向井ナカジが無残な姿になっていた 「向井が…死んだ?」 家康は忠勝からその話を聞き驚いた 一人ベッドで状況を整理していると、誰かが部屋に入る 「家康先輩、大丈夫ですか?」 水色の髪が印象的な2年D組の生徒、サイバーだ 「ナカジがすいませんでした。ちゃんとケジメ付けさせたけど」 にこやかに微笑んだ。 「で、ね。先輩はリュータと仲良かったよね。俺知ってるからさ、先輩は鬼じゃ 無いって信じてる」 「…お前達が全てやったのか」 家康の問いにサイバーは頷いた。 「でも犯人はまだ見つかってない」 家康は拳を握る。 「こんな事をやってリュータが喜ぶか!!!」 「喜びますよ?だってリュータだもん」 サイバーはニヤニヤと笑う。 「さあて、次は誰を殺そうかなぁ…」 家康が殴りかかった時には遅かった。 鈍い音だけがし、ドアは平然と家康に向かっているだけだ。 その数分後、3-Bの教師の武田が無数の刃物が突き刺さった状態で発見された。 「よう、家康」 家康の友人、元親が部屋を訪れた 「元親!どうしたんだ?」 「やー、ほら物騒だからよ!護衛だよ護衛」 元親は隣のベッドに座る すると表情が変わった 「…武田センセも、石田も、政宗もよ…みんなアイツに辿りつくんだよ」 「アイツ、って…」 元親が真剣な眼差しを向ける 「屋上飛び下りて死んだアイツ、リュータにだ」 みんなは彼をいじめました 仲間達は彼を守ろうとしました みんなみんなみんなみんなみんなみんな彼をいじめました 助けようとするとより彼はいじめられました 彼は世界からいなくなりました みんなは笑いました 仲間達は誓います みんなを殺そうと 気が付くと、仲間達は鬼になりました 「…2-Dか」 「西海の鬼の俺ぁ言うのは何だがな…奴ら、イカれてるぜ」元親の声は小さくな る。 「敵を取ろうとも奴らぁ数が多い。警察を呼んでもこの吹雪だ…誰も入ってこれ ねぇぜ」 談話室… 2年D組の生徒達が話し合う 「私が見た限り、武田先生は鬼じゃなかったわ」 リゼットが名簿にチェックをいれる 「でも、まだ犯人はボロを出さないね」 ショウが呟く 「じゃ次はC組かな」 ソラが名簿を見せた 「いや?D組で合ってる筈さ」 タロがリゼットから名簿を奪う 「そうだ。リュータがあの日会ったのは3-Dだからな」 サイバーが憎らしそうに呟く 「じゃ、鬼を決めよう」 「前田慶次はどう?」 「違うよ、大谷だ」 喧々囂々と話し合う すると今まで沈黙を貫いていたエッジが発言する 「…俺は、竹中だと思う。露骨にリュータをいびってたし、前にリュータのこと 陰口言ってた」 「今回の処刑は竹中半兵衛だね」 サユリが笑う 「誰が殺す?」 リゼットが笑う 「みんなで殺す!」 皆が笑った 「…僕は罪を告白する」 竹中が部屋で元親から借りたレコーダーに声を吹き込んでいた 「僕はあの日酷いことをしたんだ。…後輩を、死に追いやってしまった」 「これは僕と毛利君の処為だ。僕達がふざけて遺書を書き、彼を突き飛ばした。 僕らの計算だと3階の近くに生えた木に引っ掛かるはずだった」 「だがリュータの軌道は反れ、花壇に落ちてしまった。」 「僕達は反省している。これは本当だ」 「悪かった。許してくれと言っても許してくれないだろう」 「だから、殺られる前に殺る事にした」 突然の爆発音。近いようで、遠い音。 「これは僕達の秘密の場所に隠しておく事にした」 ブツッ レコードの停止音。 二人は自分達の部屋のベッドの下にレコードを隠した。 >しかし、その爆発で怪我をした者はいなかった 「ねえ、これってさ…竹中かな?」 バラバラになった部屋を見てタロが笑う 「きっと竹中だよ」 「竹中ね」 「早くやっつけちゃお!」 だが皆は竹中の部屋のドアに手紙を挟み、ドアに落書きをする 『お前が犯人だ』 今までの文とは違う。 すでに確信を得ているようだった 「明日ね」「明日さ」「明日、明日」 パタパタと走り去っていった 「…彼はいじめられてたんだな」 家康が元親や忠勝、風魔から得た情報を整理していくと、その結論にたどり着い た 「いじめの主犯格は竹中と毛利…じゃあきっとアイツらは」 「早く気付いてやれば良かったよ」 「竹中はよくリュータを馬鹿にしてた」 「許しちゃ駄目だね」 竹中と毛利は上杉の所に居た。 事の全てを話すと、上杉は頷く。 「わたくしにもたけだのかたきがあります。ただではすますつもりはありません 」 上杉は何かを書いた。その紙をコピーし、数枚ずつ二人に渡した。 「これをかくへやにはりなさい。」 そして凛と言った。 「これはとむらいがっせんです」 次の日は地獄だった 2年D組が本当に全てを殺すつもりで動き出したからだ そこで初めて三年は2年A組からC組まで全てを吊されていたことを知った 「殺せ殺せ全て殺せ!!」 ビス子が3年C組の織田市の首を絞めて死なせた 「あんたの存在が嫌いだったの!!」 ビス子は市の恋人、長政に殴られ死んだ B組の小早川はソラに蹴られて階段を落ちて死んだ ソラは真田に刺された 先生は死んでた みんな殺してみんな殺されていた 家康は元親、忠勝、風魔、鶴姫、慶次と部屋にいた 彼らは家康に手を出さないと約束したから 外から悲鳴が聞こえてもひたすら部屋に閉じこもっていた そこで家康は自分の枕に違和感が有るのに気付いた 取り出したら、レコーダーの記録メディアだ 家康は元親のノートパソコンで再生させることにした 「もうやめて」 それは涙声だった。 「俺の事はもう良いから止めて」 リュータの声だ。元親達は顔を見合わせる。 「俺が死んだら皆鬼になっちまう。それだけは嫌だ!止めてくれ!!!」 リュータの声と裏腹に外の音は激しくなっていった。 「これってさ…きっと、死んだ時の」 元親がもう一度頭から再生する 『先輩、呼び出して何の用ですか?屋上は立ち入り禁止ですよ?』 『…先輩、止めて下さい』 『嫌です!死にたくない』 『そんなに俺が嫌いなんですか!?』 『嫌だ!離せ!!離してくれよ!』 『嘘!嘘嘘嘘だ嫌止めて死にたくない離して先輩、俺死んじまう』 『お願い止めて!!竹中先輩!』 グシャリと何かが落ちる音で記録は終わっていた 「…竹中が、殺したのか?」 忠勝がとあるコピーを見せた それは遺書だ 鶴姫が読み上げる 「『遺書…リュータ。俺は愚図で馬鹿でクラスメートの迷惑でした。先輩を苛つ かせていました。生きていてごめんなさい。俺は死にます。死ななかったとして ももう学校に来ません。生まれてごめんなさい。生きていてごめんなさい。クラ スメートのみんなごめんなさい。さようなら』…です」 「なんてこと…」 鶴姫は涙目になっている。 「これぁ決定的な証拠だぜ」 「…何故一回目と違うデータが…?」 するとパソコンが勝手に動き出し、もう一度データが再生された。 それが合宿所内のスピーカーから鳴り響く。 スピーカーから流れるのは先ほどの音声 それが流れた後、2年D組の生徒達は動きを止める 「…アイツを殺そう」 「竹中を殺そう」 「やっぱり殺されてたんだ!」 もう一度凶器を握り締め、竹中の部屋に向かった 今の放送で動きを止めたのは2年D組の生徒だけでは無い 竹中は焦っていた 「何?伊達が殺されたのは犯人探しで?」 「リュータを殺した犯人を」 「彼は事故じゃなく他殺」 「殺したのは竹中?」 竹中は走り、雑木林の中に隠れた。 しかし、まるでついて来たかの様にすぐに見つかってしまった。 タロが笑った 「地獄で詫びろ糞野郎」 次の瞬間、竹中は腹部に激痛を感じた 「よくもアイツを殺したな」 タロが竹中の腹部からナイフを抜いた 「何で殺した」 もう一度ナイフを腹部に刺す 「…知ってるか?腸は生命維持には関係ない臓器なんだってさ」 「グハッア!!!」 竹中は地面にはいつくばり、痛みのあまり丸くなった。 「何?今度は背中を刺して欲しいの?」 タローは竹中の背中をめった刺しにする。激痛のあまり、竹中は気絶した。 「せいぜい苦しんで死ね」 タロはうずくまった竹中の顔を蹴ると走り去っていった 合宿場は鉄錆の臭いと一面の赤が広がる そんな中、サユリが笑っている 「リゼットちゃん、先にリュータくんによろしくね。私も後で行くわ」 動かなくなったリゼットの頭を撫でると、サユリは竹中の部屋に向かった 家康達は、見つからないように合宿場から逃げ出した ちょうど吹雪が止んだからだ 何とか半日で人通りの多い場所に着く 家康は忠勝に背負われた 「忠勝!ワシの怪我はもう大丈夫だから降ろせ!」 家康に言われても忠勝は降ろさなかった。元親は携帯の電波がある所を探してい る。 「おっ、電話来た」 元親がデコレーションされた携帯を耳にあてる。 『もしもしー、チカ先輩ですかぁ?』 「タ、タロか?どうしたお前!」 相手は合宿場の公衆電話からかけているらしい 『チカ先輩、色々ごめんなさい。近くに家康先輩いますよね?ごめん、って伝え て下さい』 「バカ!謝るなら直接来いよ!!」 元親達が足を止めた 家康は忠勝の背から降りた 『今、合宿場の雨樋に詰め物してガソリン入れたんですよ。ほら、ひぐらしみた いに』 「まさか、お前ら」 『うん。みんなドカンと燃やしちゃえって』 「バカ、止めろ」 『中の人は知らないです。知ってんのはD組のみんなとチカ先輩達だけです』 元親が泣き叫んだ 「バカだよ!テメェらみんな大馬鹿だ!」 『あ、時間みたいっす。さよならチカ先輩』 爆発音が響いた 電話からは無機質な電子音が聞こえているだけだった 皆は沈黙する 全ては歪みきって終わってしまった 「そんな…皆…」 結局何も救えなかった そんな感情が頭を過ぎる。 元親は携帯を畳んだ。 これで終わりなのだと、ただ終わりなのだと、事実が言った。 終演