その男は座っていた。
緑色の中で原子が飛んでいる。
眼鏡越しに見た世界は美しくて、
其れが作られた世界である事を眼鏡を外して知る。
灰色の世界
灰色以外に何も無い。そんな世界が本物かどうかも、わからなかった。
眼鏡を掛ける。
自然に溢れた世界
腰掛けているのは大樹。黒手袋が大地を掴む。
原子達がクスクス、クスクスと笑う。
男は眼鏡を外したり、掛けたりしていた。
その度に変わる世界。どちらが本物かもわからなかった。
最終的に眼鏡を掛けて、男は原子達を見た。
嗚呼、狂っているな
男は緑色の世界を選んだ。
その方が現実を見なかったからだ。
やがて男は歩き出す。
男が去った後、大樹の影で紫色の闇が笑った。