意識


苛つく。
何時からだ、とても苛ついている。
授業中も、練習している時も、何か苛ついている。
唯一安らげる、一服の時でさえ、心が安らかではないのだ。
何故だ。
考える。
直ぐに浮かんだ。
赤い髪の男。
ああ、あれからだ。
あの、村中という男。
茶飲み仲間だと言った。
何故?
何故、ワシなんかに…
湯呑みを持つ手が少し震えた。
あの、魁という男の
あの、笑った顔。
ああ、
また、胸がざわめく。

分かっている。
でも、分かってはいけない。
そんなことは許されないのだ。
ワシは凶星高校の生徒で、
奴は、黒撰高校の生徒。
しかも、同じ野球部で、更に、主将同士なのだ。
敵だ。
ワシにとって、凶星高校の者でさえ味方ではない。
ましてや他校の者など、敵でしかなのだ。
分かっている。
分かっているのに。
魁の、あの優しい笑みが浮かぶ。
あの低い声が蘇る。
何故、何故――

ワシは、魁が恋しいのだ。


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