4章 ノルマール城

モドル | ススム | モクジ

  6.  

「分かりました。皇帝の儀が終わって、宮廷魔導師さんがぐっすり眠れてから会うことにします」
「ごめんね、ミコトちゃん」
「いいえ。あたしこそ無茶言っちゃってごめんなさい。………あの、でも皇帝の儀まであたしは何をしていればいいんですかね?」
皇帝の儀まで、確か七日あるはずだ。その間、尊は宮廷魔導師に会うことは出来ない。
そうなると、七日間も何をしていればいいのだろうか。
レオンハルトは好きなだけ城に居ていいと言ったが、何もしないでぼんやりと日々を過ごすというのも申し訳ないので、出来るならばお手伝いなどをして少しはお役に立ちたい。
きっとマチェイは何もしなくていいと言いそうだから、何か出来ることがないか聞いてみよう。
マチェイが何をいうのか待っていると、その口からは予想とは違う言葉が飛び出した。
「しばらく、ノルマールの観光しててもらっていい?」
「はい?」
聞き間違いではなければ『観光』と言った気がする。
尊が聞き返すより前に、テオドシウスが尊の腕に飛びついてきた。
「僕がミコトにノルマールを案内するよ」
「ええ?」
「観光ちゅーもルゥが護衛するゾ!」
「ええぇ?」
右腕にテオドシウス、左腕にルゥがぶら下がる。楽しそうな二人を見る限り、冗談ではないようだ。
尊は両腕に子供二人をぶら下げたままマチェイに詰め寄る。
「あの……マチェイさん。マジで言ってます?」
「うん、マジですよ」
「っていうか、皇子様のテオが皇帝の儀の前に、呑気に異世界人を観光案内していいんですか」
「いいんですよ。坊ちゃんは特にすることないからねー」
「そうなの。皇族で大変なの兄様だけだから」
「あらら、レオンさん可哀相に……」
レオンハルトがしばらく会えなくなるというのは、尊だけではなくテオドシウスに対してもだったらしい。
テオドシウスが暇だと言うことは分かったが、だからと言って誘拐されかけた身で観光などしていていいのだろうか。
眉を寄せて考え込んでいる尊の耳に、マチェイが顔を寄せる。
「皇帝の儀までの間、坊ちゃんのお守りをお願いしたいんだ。俺たちも忙しくなるから、常に坊っちゃんのお傍にはいれないのよ。それに、護衛はルゥ以外にもちゃんといるから安心してね」
腕にぶら下がっている二人には聞こえないように囁かれた言葉。
目を瞬いて見上げると、彼は悪戯っ子のように笑っている。尊が丸め込まれてしまう、あの笑顔だ。
「楽しんで行ってくるといいよ」
尊から離れると、今度は二人にも聞こえるように言った。
つまり、警備は万全。そして、観光と言う名の子守り……と言ってはテオドシウスに失礼になるので、お目付け役というところか。
ただ観光に行くだけなのは申し訳ないが、それがマチェイやライラークの手助けに慣れるのならば尊に文句などはない。
「それじゃ、おのぼりさん丸出しで観光を楽しみたいと思います!」
軍人のような敬礼をして、にしゃりと笑う。
せっかく異世界に来ることが出来たのだから、色々と見て回りたいと思うのは人の性だ。どうせすぐには帰れないのだから、遊びに意識を傾けてしまった方が楽になる。
………少なくとも、物珍しいものに囲まれている間は佐奈のことを考えずに済むだろう。
『色んなところに行こうね』と、はしゃぐテオドシウス。ルゥと二人でぴょんぴょんと飛び回っている。
この可愛らしい生き物たちは何だろう。抱き締めろという合図だろうかと胸をキュンキュンさせていると、不気味な音を立てて扉が開いた。
ホラーには付き物の効果音に怯えながら振り返ると、酷く暗い顔をしたセリーヌが入ってきた。手には布を持っている。
「………替えの服をお持ちしました」
セリーヌは精気の抜けた声でぼそぼそと喋り、尊に服を差し出す。
あまりのテンションの違いに戸惑いながらも礼を言って受け取ろうとするが、何故か手を離してくれない。
引っ張り合って先ほどの二の舞になるのも嫌なので、困りながらセリーヌを見上げると彼女は泣きそうな顔で服から手を離した。
どんだけ悪趣味な服なのかと恐れつつ広げると、それは無地の白い上着と黒いズボンだった。まったく普通だ。
「柄もなく刺繍もなくレースもない服をミコト様に着せることになるなんて……。裾の短いものも作っておくべきでした!!」
血の滲みそうなほど悔しそうに唇を噛み締めるセリーヌに、この人の私服は常にあれ(ロココ調)なのだろうかと疑問に思った。
と言うことは、現在着ている無地で地味なシスターのような服はセリーヌにとっては耐えがたいのだろうか?
少し興味が沸いたが、尋ねてしまえば怒涛の勢いで語られそうな気がしたので止めておいた。
「わざわざすみません。じゃ、着替えてきまーす」
尊は手に渡された服を持って、先ほど着替えをした部屋に向かう。
着替えを手伝うために、ぶつぶつと呪詛のように何かを呟くセリーヌが尊の後に続いた。




※※※※※※※※※※※※




着替え終わったミコトやテオドシウスたちが去り、人口密度の減った部屋の中。
マチェイだけは去らず、ライラークのベッドの傍らに椅子を引き寄せてそこに座った。
「いやぁ……似合ってたなぁ、ミコトちゃん」
マチェイの言葉にライラークは同意することも出来ずに唇を引き結んだ。
目を閉じてしみじみと呟くマチェイの脳裏に浮かんでいるのは、恐らく去り際の尊の姿だろう。
確かにセリーヌが趣味で作っているドレスよりは、遥かに似合っていた。よく似合ってはいたのだが………。
「どこからどう見ても可愛い顔した少年だった」
「マチェイ!」
しんみりと頷くマチェイを咎める。何故ならその発言は真実を突いていたからだ。
治癒室に用意してある衣服は怪我人のために動きやすさを重視しているため、僅かに大きい。大きな上着を腰の辺りで革紐で縛って長さを調節し、ズボンを穿いた尊の姿はどう控えめに見ても町民の少年だった。
本人も思うところがあったらしく、登場した時には可哀相に……頬が引き攣っていた。

「けどさぁ、本当によく分からないなぁ」
ふぅと溜息をついて長めの前髪を掻き上げるマチェイ。
「上等な衣服に髪にまで栄養の行き渡ったところを見る限りじゃ貴族の子に見えるんだけど、性格は庶民臭いんだよね。でも、物知らずじゃない。受け答えや呑み込みの早さ………ちゃんとした教育を受けてるみたいだ」
「そうだな。お前の挑発にも乗らなかったしな」
「あ、やっぱ分かった?」
ぺろりと舌を出すマチェイに、やはりそうだったのかと納得した。
ルゥの護衛を断ろうとした尊にわざとレオンハルトの体面が関わっていることを匂わせた。
宮廷魔導師の件に関してもそうだ。彼らが忙しいのは実際のことだが、あんな風に挑発して言う必要はない。
マチェイは試していたのだ。彼女がどこまで言葉の裏を読め、柔軟に対応できるのかを。
結果は優秀と言っていいだろう。
護衛をつけることは命令だとすぐに気付き、軽い調子で彼女の申し出を断ったマチェイに対しても礼を尽くした。
「目上の人間に対する礼節を分かってるから、貴族だとしたらかなり上の地位だな。ただ、それなりに剣も扱いなれてるとなると……やっぱり貴族のお嬢様じゃないか」
「だが、殺気には慣れていないようだ。完全に怯えていた」
喉元に剣を突きつけられて凍り付いていた尊を思い出し、ライラークは『可哀相なことをしてしまった』とポツリと呟く。
普段ならば女子供に手を上げるなどという愚挙は起こさないのだが、あの時はテオドシウスのことで頭に血が上っていた。
けれど、尊は笑って許してくれたのだ。それだけでも、彼女が心優しい少女なのだと言うことが分かる。
「そうなると、騎士って線も消えるなぁ。うーん、ますます何者なんだろ?」
「本人に聞いていないのか?」
「聞いたよ。チキュウって異世界に住む、普通のガクセーなんだとさ」
「は?」
マチェイの唐突過ぎる台詞に、ライラークは思わず間の抜けた声で聞き返してしまった。
普通のガクセーというのも意味がわからないが、それよりも『異世界』とは何のことなのだろうか。しかも、聖神界(ラウディール)ではなく、チキュウ?
「俺もさっき聞いたんだけどね、どうもミコトちゃんは人間界(エディアール)でも聖神界(ラウディール)とも違う世界の子みたいよ。ディア・ガディアスの召喚に巻き込まれて、チキュウって世界からネフィーリアに来ちゃったんだって。びっくりだよね」
あまりに荒唐無稽な話に、ライラークは呆気に取られた顔で目を瞬く。
不思議な服装に、少女でありながら短い髪。ノルマールの少女ではないと思っていた。
それでも、ネフィーリアではない異世界から来たと言われても簡単には信じることが出来ない。
「ミコト様がそう言ったのか?」
「そっ、おいしそうにケーキ食べながら。………この話、信じる?」
「信じがたいな」
マチェイの質問に首を横に振る。
いくら、ネフィーリアが人間界(エディアール)聖神界(ラウディール)という二つの世界に分かれているとはいえ、長い歴史の中で他の世界の存在など確認されたことはない。
騎士であるライラークには、魔導師たちのように召還(リアース)の原理や仕組みは分からない。
彼らならばまた違った結論を出すのかもしれないが、二十三年間で培ってきたライラークの常識ではとても受け入れることの出来ない話だ。
質の悪い嘘ついているか、妄想を述べる頭のおかしい娘と思うのが普通だろう。
けれど………。
尊の姿を脳裏に浮かべる。
「だが、ミコト様の言葉ならば信じる気になる」
他の人間の言葉ならば戯言だと思うしかないが、それが他でもない彼女の言葉ならば信用したいと思う。
明るく素直、元気で優しい少女。剣を突きつけたことを責めるどころか、怪我をしたライラークを心配して泣きそうになっていた。
何よりも、彼女はテオドシウスを助けるために何度も命を懸けたのだと聞いた。そして、ライラークの目の前でもテオドシウスと女性を助けようと身を投げ出した。
そんな少女が嘘をつくとは思えない。
「やっぱりねぇ。ミコトちゃんだから完全否定も出来ないんだよね」
マチェイも同じ結論だったらしい。
全てを鵜呑みすることは出来ないが、それでも彼女を信用したいと思う。
けれど、信じていると言いながらもマチェイの表情は浮かない。
「でも、あの子には何かある」
「何か?」
「ライも見ただろ?あの晴天で雷が落ちてくるなんて有り得ない。しかも、グリフォンを直撃」
「あれはディア・ガディアスの具現(ルーレイ)ではないのか?」
「ディア・ガディアスかどうか疑わしいぬいぐるみの具現(ルーレイ)には違いはないだろうけど、ミコトちゃんの悲鳴と同時にって出来過ぎてない?」
「そうか?あの時は切羽詰まっていたからな。ミコト様を助けようとしたのではないか?」
「お前、好意を持つと相手のこと全面的に信用する癖を直しなさいよ。確かにミコトちゃんは悪い子じゃないけど……。あの子の背後にはきっと何かがある」
言いながら、彼自身も迷っているらしい。困りきったように蒲公英色の髪をがりがりと掻いている。
「それが善いものなのか悪いものなのか、今は分からない。けど、それがこの世界を変える気がする」
先代・長巫女の甥という血筋のためなのかは分からないが、マチェイの勘はよく当たる……というか外れたことがない。
漠然としたものを感じとるだけしか出来ないが、その勘のお陰で死線をくぐり抜けたこともある。
「ミコト様が世界を変えるのか?お前にしては大袈裟だな」
「俺もそう思う」
へらりと締まりのない顔で笑うマチェイは冗談なのか本気なのか区別がつかない。
「ま、危険人物じゃないにしろ、要注意人物ってとこかな」
「陛下はなんと仰っている?」
「『気になるならとことんまで調べてみれば?』ですってよ。完全に人事だよ、あの人」
いかにもレオンハルトが言いそうな台詞だ。
部下を信用していると言えば聞こえがいいが、ただ単に放任主義とも言える。

「それから、お前にも伝言。『皇帝の儀が終わるまではお前に構ってる暇ないから、ここにいろ。人手不足だから見張りはつけられないけど逃げるなよ』だって」
「………そうか」
「あとこれ、ハルヴァリ団長から」
いつの間に持ち込んでいたのか。恐らくはルゥの騒動のせいで持ち込んでいたことに気付かなかったのだろう。
マチェイが突き出したのは布に包まれた棒状のものだ。受け取って掛けられた布を払う。
包まれていたのは、騎士見習いの時から使っている愛剣。城に帰ってきたときに取り上げられたはずだ。
「こんなもんを置く場所はねえから、テメェでどうにかしろよ、だとさ。………この意味、分かるな」
分からないわけがない。
ライラークは微笑を浮かべて、布団の上に置いていた指を組んだ。
レオンハルトの気持ちもハルヴァリの気持ちも痛いほどに嬉しかった。そして、マチェイの気持ちも。
けれど、その気持ちに応えるわけにはいかなかった。
「七日も此処にいては、セリーヌ殿やウィンターソン先生に迷惑を掛けてしまうな」
呟いた言葉にマチェイが顔を歪める。
小さく舌打ちをすると、椅子から立ち上がってライラークの胸倉を乱暴に掴んだ。
「ふざけんなよ、ライ。分かってんだろ?皇帝の儀が終われば、ヤツらが黙っちゃいない。陛下たちの配慮を無視する気か?」
「陛下たちのお気持ちは有り難い。だが、私がノルマールを離れるわけにはいかないだろう」
「………秩序を守るためにとかバカなこと抜かしたら殴るからな」
剣呑な瞳でこちらを睨むマチェイ。いつもは垂れた目が、今は吊り上がっていた。
滅多なことでは感情を読ませない彼が、目に見えて怒りを露わにすることは珍しい。ライラークを心配しているからこそだろう。
ここでライラークが逃げることは簡単だ。鉄扉に鍵を掛けられようと、見張りもいないこの部屋から逃げるのは一部隊を任せられているライラークには、赤子の手を捻るより容易いことだ。
そして、レオンハルトは皇帝の儀が終わっていないことを理由に騎士団の追っ手を差し向けないだろう。役人相手ならば逃げ切れる自信がある。
けれど、どうしても出来ない。
マチェイは馬鹿だと言うが秩序は大切だ。民の見本となるべき立場にいる自分が秩序を壊すわけにはいかない。
そして、それ以上にライラークには大切なものがある。
「私は、テオドシウス皇子を裏切りたくない」
逃げてしまえば生き残ることは出来るが、逃げた時点でライラークは脱走兵の烙印を押される。
それは即ち、彼らの疑惑を認めることだ。テオドシウスを裏切ったということになる。
「このボケナスが。坊ちゃんがそんなこと思うわけないだろ」
「皇子のお心だけの問題ではない」
あの心優しい皇子は、ライラークが逃げても決して責めはしないだろうし、裏切られたと思うこともないだろう。それどころか、ライラークの無事を願うだろう。
テオドシウスが分かってくれたとしても、対外的に見れば彼は自分の騎士に裏切られた皇子ということになる。
そんなことは許されない。例え己の命を落とすことになっても、彼の不名誉になることだけは避けたかった。
マチェイはライラークの瞳をじっと見つめてから、
「っバカヤローが……」
突き放すように胸倉を離した。
マチェイは椅子に身を投げ出し、深々と溜息をついて宙を見つめる。すぐに苛立ったように頭を掻き毟ると、今度は力尽きたように首を垂れた。
そのままの体勢でしばらく口を閉ざしていたかと思うと、不意に顔を上げる。そして、天井に向かって叫んだ。
「っあ〜〜〜〜〜〜!!」
苛立ちを吐き出すような咆哮をあげると、少しは鬱憤も晴れたらしい。こちらを見る目は、いつもの垂れ目に戻っていた。
「お手上げ。もう知らね。ってか、知ったことか」
苦々しい表情で呟くと、言葉通りに両手を上げる。
「好きにしな。お前の命だ。使いどころはお前が決めればいい」
吐き捨てるように言って立ち上がると、部屋を出て行こうと背を向ける。
突き放した物言いには、彼の悔しさが滲み出ていた。友人を救えない悔しさ。
それでも、ライラークの決意を認めてくれる優しさ。
「マチェイ」
声を掛けても振り向かない背中。
「ありがとう」
礼を言うと扉に掛けた手が止まる。
それは一瞬のことでマチェイはそのまま部屋を出て行ってしまった。振り返ることはなかったが、きっと気持ちは伝わっただろう。
小さく息を吐いて、左腕に視線を移す。
袖を捲り上ると、そこには三本に並んだ傷痕がある。グリフォンの爪痕だ。
尊に傷痕は残っていないと言ったのは、彼女が心細がる表情でライラークを見つめていたからだ。
傷痕が残ったなどと言えば、自分を責めてしまいそうな彼女に本当のことは言えなかった。
傷痕をそっとなぞる。
ノルマールで最高の治癒師であるウィンターソンの腕ならば傷痕など残さずに治すことは出来るが、ライラークは敢えて傷痕を残してもらった。
己への戒めとテオドシウスを危険に晒した代償に………。
ライラークの警備が万全ならばテオドシウスが攫われることも、あのような危険に晒されることもなかったのだ。
だからこそ、責任を取らなくてはいけないのだ。

「ライラーク様、失礼します」
鉄の扉を軽々と開けて、セリーヌが部屋の中に入ってきた。手にたくさんの布を抱えている。
持っていた布を小さな卓の上に置くと、沈んだ顔で振り返った。
「……話はマチェイ様から聞きました。何かご用がありましたら、何でも言い付けでください」
「すまない。セリーヌ殿と先生にはご迷惑をお掛けする」
「気になさらないでください。まだ、どうなるかなんて分からないのですから」
言いながらも不安そうな顔をしているが、何とかライラークを元気づけようとしている様子が伝わってくる。
「少しでも気分が変わるように色々と持ってきたんですよ」
「え?」
そう言って、セリーヌは卓の上に置いた布の一つを広げた。
先ほどとは打って変わって輝くような笑顔を見せている。対照的にライラークの顔は引き攣った。
「どうですか、ライラーク様!!」
セリーヌが広げた布は、彼女が大好きなひらひらフリフリのレースの塊。
形からするとカーテンだろうか。
「………それは?」
「こんな辛気臭い部屋では息が詰まるでしょう。ですから、少しでも気分が晴れるようにとご用意しました!」
満面の笑みで、次々と広げていく布は全てレース。部屋をレースで埋め尽くす気らしい。
「お着替えも私が作ったので、明日からはそれを着てくださいね」
一切の悪気のない笑顔を見せる彼女に、どうすればセリーヌを傷つけずに断れるのだろうかと冷や汗を流しながら頭を抱えた。
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