エドウィンネタ8
理想の嫁さん
「ん〜!!!!!!!やっと終わった〜!!」
厚い本の表紙をポンっと閉じて、ベッドに置く。
ホテルと違い、やっぱり故郷の、昔馴染みの家は落ち着く。
いつの間にか時間は夜の3時過ぎを指し、アルの姿も部屋から消えていた。
(ウィンリィの手伝いでもしてるのか?)
下の階でまだ物音が聞こえたから、おそらくウィンリィも徹夜でオレの機械鎧を整備してくれてるんだろう。
「まぁ、それがあいつの仕事だしな・・・・・・。3時・・・・・過ぎか・・・・・・・・・・・・・・」
どんどんと進んでいく秒針。
きっとあと1、2時間もすれば外も明るくなってくるだろう。
下から聞こえる物音は止む気配がない。
「・・・・・・・・・・・・・・。そうだ、オレはトイレに行きたいんだ!!」
別に、オレの機械鎧のためにウィンリィが頑張ってるとか、そんなことは全く気になってなんかない!!
「そう、トイレ、トイレ!!」
まぁ、でも、トイレのついでにウィンリィの様子をちょ〜っと見てやってもいいかな、ちょ〜っと。
「はぁ、ついつい没頭しちまったぜ!!」
極めてナチュラルにオレはウィンリィの仕事場に入って行った。
「兄さん!?まだ起きてたの?」
「信じられない・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
堅そうな鋼の塊を持った2人がオレを見て思いっきり溜息をつく。
「オレは勉強熱心だからな!!」
「で、どうしたの、エド?まだ寝ないの?」
握っていたスパナをブンブン振り回しながらウィンリィがオレに聞く。
「お、おう、もう寝るけどな、オレは!!ただ、なんか腹減ったな〜」
そう、オレは別にウィンリィがこんなに遅くまで起きてて心配とか、そういうことは全然ない!!
もちろん、アルが寝れない体だということが申し訳ないということも全然思ってない!!
(オレは腹が減ったんだ!!それだけだ!!)
「はぁ〜・・・・・。仕方ないわね・・・・・・・・・・・・」
そう言うと、ウィンリィは部屋を出て、廊下の奥へ消えていった。
「ホント、素直じゃないよね、兄さんって。」
「なっ、なんだよ・・・・・。別にオレは・・・・・・・・・・・」
アルがオレの顔を見てもう一度深くため息をつく。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
(やっぱり、素直になった方がよかったかな?)
なんとなく邪魔してしまった雰囲気で、余計な手間をかけさせている感じが申し訳なくなってきた。
「あり合わせで作ったやつだけど、それ食べてとっとと寝なさいよね。」
「えーっと・・・・・・・コレ、おまえが作ったのか?」
「他に誰が作ったっていうのよ?」
オレの目の前に出されたのはできたてのピラフのようなごはんと、銀のスプーン。
まさか、わざわざ飯を作ってきてくれるとは・・・・・・・・・・・・。
(やっぱりオレ、すげぇ邪魔だよな・・・・・・・)
心の中でひっそりウィンリィに謝罪して、ピラフを口に運ぶ。
「んっ?・・・・・・・・・・んっ!?・・・・ん!!」
「どうしたの、兄さん!?」
「ちょっ、なによその反応!!あたしのご飯がまずいっていうの?」
「んぐっ、んっ!!」
「ちゃんと食べてから話しなさい!!」
そうウィンリィに一喝されて、オレは飯を飲み込んでから小さく深呼吸して落ち着く。
「違う、その逆だ!!うまい、うん、マジで!!すげぇウマい!!」
使ってる食材は質素なのに、どうしたらこんなうまいものが作れるんだろうか?
「シチューとアップルパイ以外にもどんどんレパートリー増やしてるんだな、ウィンリィ。」
「当たり前でしょ!!何年ばっちゃんと2人っきりで過ごしてると思ってるのよ!!」
機械鎧ばっかりで女らしさの欠片もなかったウィンリィが、今じゃ料理上手とは・・・・。
人は成長するものだ。
「これだったらウィンリィはすぐにでも嫁に行けるな!!きっといい嫁さんになれるな!!」
―――ガシャッ、ゴッ、ガシャン!!
「アレ?・・・・・・ウィンリィ・・・・・さん・・・・・?」
ウィンリィの足元に大量の工具が落ちる。
その音にビックリしたオレとアルは、ただ情けないポーズを取って固まっていた。
「おい、ウィンリィ、足の上とかに落ちてないか?大丈夫か?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・カ・・・・」
「あっ?おい、ウィンリィ?」
「もう、エドのバカッ!!!!!!早く寝てきなさいよね、この豆ッ!!!!!!」
まだ食事途中だというのに、オレをウィンリィは必至で部屋から追い出そうとする。
「誰が豆か!!!!!っていうか、いきなりなんだよ、ウィンリ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
オレの背中を押すウィンリィの表情を見て、オレまで動揺する。
(なっ、なんでそんな真っ赤な顔してるんだよ!!)
しかも、涙目。
「はぁ〜・・・・・・、本当に兄さんって・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
アルがわざとらしく額に手を当て、頭を振る。
「はーやーくー出て行って!!!!!!!!」
この細い体のどこにこんな力があるのか、オレは抵抗することもできず、そのまま強引に部屋を追い出された。
(はぁ〜・・・・・・、やっちまった・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)
全てが裏目に。
(にしても、ひょっとして、オレ、すんごいセリフ口にしちまったのか・・・・・・・・・)
冷静に考えれば・・・・・・・・・・・・ああ、ダメだ、オレまで顔が真っ赤になって涙目になってきた!!
「はぁ〜、今夜は寝れる自信がねぇ・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
それより、明日からウィンリィにどんな顔して会えばいいのかが一番の問題だ・・・・・・・。

とりあえず、兄さんのツンデレっぷりと、ウィンリィの料理と、「おまえはオレの理想の嫁だ」発言をさせたかった・・・・。
短い中に詰め込みすぎですみません。